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2012.07.04 06:17




こんにちは~~~

このところの続き物、今回でお終いでございます。

間違って読んじゃった方にも、なんか成り行きで仕方なく読んでくださった方にも、
お付き合い頂いて本当にありがとうございました!


しーさま、
わたしそんなにヤバイとこばっかり突いてますか? うーん…自覚ないです~←これがいけない? 


音楽の話は、
楽しかったです~でも、ほんと詳しくないので教えて頂いてうれしかった感じ。 チェリビダッケは某報道機関?の記者さんですごく面白い方がいらして、その方のブログでリコメンドされていて知ったんです。ええ、つい最近。おススメされていたのは「ラヴェルのボレロ」の動画だったのですが、なんといいますか……テンポはご存じのようにゆっくりで、なのに彼の振りが…激しすぎる!! え、ボレロてこんなに情熱的に踊れる(いや、指揮してるだけなんですけど)曲?! 動きすぎて指揮者画面から消えるやん!という感じでございました。
好きなテノール歌手は……そんなぁ…恥ずかしいからいいですよぉ…だって絶対に皆さん知らないと思うし!

また機会があったら話し掛けてください。

返事をしない自信がありますけどっ!←ひとでなし


では、もしよろしかったら……













 言い聞かせる様に、優しい声で鈴木が懇願する。
「ね、放して雪子さん、おれ、薪が心配なんだ、こうしてる間にも薪に何かあったら…だって薪は今………」
 早く薪のところへ行かないと、と繰り返す鈴木に、彼を戒める手の力を強くしながら雪子はきかない子どものように首を振った。

「つよし君なんて、どうでもいい」
 こんな毒のある言い方、雪子は今までしたことがなかった。
「わたしは克洋くんが心配なの、つよし君がどんなに大変だって、わたしには関係ない、つよし君なんてどうなっちゃったって構わない」
 投げつけるような雪子の口調に、それまで穏やかだった鈴木の顔がさすがに曇る。
「なに言ってんの? 雪子さん」
 咎めるようにしかめた眉にも、しかし雪子の言葉は止まらなかった。
「さっきの自分の状態覚えてる? 『第九』のモニタ室で捜査中にオカシクなって、克洋くん、駆けつけた他の職員の子たちに押さえつけられたあげく病院へ連れてかれたんだよ、馬に打つくらいの量の鎮静剤打たれて、ふらふらになってここに戻ってきたの、忘れちゃったの?」
「………覚えてるよ」
「仕事中なのに、わたしが呼ばれて、しばらく病気療養扱いで休ませるから付いていてやってくれって言われてるんだよ」
「ごめんね、迷惑かけたんだね」
「そんなこと言ってない、わたしが言いたいのは」

 そこまで怒鳴った、雪子の言葉が途切れる。鈴木が、それまで素直に彼女に捉えさせていた手を、払うようにして離したのだ。
 雪子が見上げたら、鈴木はまるで己の感情を抑え込むかのようにほとんど表情なく立って、彼女を見返していた。静かなその瞳に、鈴木の確たる決意を感じて雪子は呆然とした。

 彼は行くのだ、もしかしたらそれが己に災いをもたらすと十分に承知してなお、行こうとしているのだ、薪のところに、彼のために。
 どんなに自分が引き留めても。

 瞳にしっかりと映したはずの鈴木の姿が滲んでぼやけてくる。自分が泣いているのだと雪子はわかった。
「行かないで……お願い、今日だけでいいの、行かないで、ここにいて、じゃないと大変なことが起こるんだよ」
「ごめんね、雪子さん」
 頬を濡らす涙をぬぐいもせずに、しゃくり上げそうな雪子に、鈴木は心底申し訳なさそうに言った。
「でもおれ、どうしても薪のところへ行かなくちゃいけないんだよ、薪を守ってやらなきゃならないんだ、あいつがこれ以上苦しまないように、おれが……」
 その済まなそうな様子と言葉に、雪子の言葉がまた強くなる。
「行ったら死んじゃうかもしれないんだよ? 上野くんだって豊村くんだって死んじゃったんだ、さっきニュースでやってたよ、今行ったら、もしかしたら克洋くんだって」
「おれはどうでもいいんだ」
「どうでも良くないよ、克洋くんに何かあったら」
「おれがどうなっても、もしかして死んでも、薪が今苦しんでるのをなくしてやれるならいいんだ」
 薪と引き換えなら死んでも構わないと、断言した鈴木に、雪子は絶句する。己の死の可能性を明言してそれでも曲げない意志で立つ、彼を止めたいのに、彼に説く言葉が見つからない。

「ねぇ…そんなにつよし君が好き?」
 代わりに口を出た言葉は、あまりに脈絡がなく聞こえて雪子は自分でも驚いた。なのに鈴木は当然のようにこくりと肯いてみせる。そのことにも、雪子は愕然とした。震える声で訊き募る。
「だってさ、考えてみてよ、どんなに克洋くんが尽くしたって、つよし君からは何も返って来ないじゃん、彼はノンケなんだよ、どんなことしたって克洋くんのこと、愛してくれたりしないよ」
「それでも」

 それでも、と鈴木は微笑んだ。
「おれにとって一番大切なのは薪だから」
「じゃあっ」
 こんなみっともない縋りつき方を、自分がするなんて雪子は想像もしなかった。
「じゃあ、わたしは? わたしのことも大切だって言ったじゃない、大切な、特別な友人だって」
 雪子の指摘に、鈴木は困ったように瞬きした後曖昧に頷いた。雪子は言葉を継ぐ。
「克洋くんが『恋のハンター』なのは知ってるよ、だってずっとそばにいて見てたもん、わたし、見てたもん……でもさ、一生に一度くらい、恋愛より友情を優先してくれてもいいじゃない………?」

 最後はゆっくりと、それは絞り出すような声だった。
 それきり、雪子は鈴木を見もせずに、うな垂れて床の上にしゃがみ込んだ。
 俯いたまま身動ぎもせず、自分はいったい何を待っているのだろうと雪子は思った。鈴木が思い直してくれることなどないと、雪子は痛いくらいわかっていたはずなのに。

「ごめんね」
 と言って、最後は触れもしなかった。
 ほとんど床面しか占めない視界の端に、鈴木が玄関に向かう足先が映る。パタパタと廊下を過ぎる音と玄関の閉まるバタンという音を聞き終えて、雪子は祈りを捧げるムスリムのように床の上に身を投げ出した。


 どうして…………?
 どうして行っちゃうの? 絶対に実らない恋のために。

 わたしなら、克洋くんに悲しい思いなんてさせない。もしかして他のひとと結婚してもなんて、絶対に言わせない。ずっと一緒に、そばにいて、一生、貰った以上の愛情を返してあげるよ。

 ねぇ、もしもわたしが男だったら、克洋くんはわたしを選んでくれた?

 初めて会った時、春彦に似てきれいだ、ってわたしのこと言ってくれたよね。
 もしも男だったら、わたしを愛してくれた?
 つよし君じゃなくて、わたしを愛してくれたの?

 なにがあっても、決してわたしを愛してはくれないひと。

 たった女であるだけで、克洋くんから選ばれる可能性さえなくなるなら。

 わたし、男に生まれたかったわ。

 男に生まれて、克洋くんと、つよし君がしたみたいに仕事のでも秘密を共有して、いざという時には生死までともにしてもいいと思うくらい。

 わたし男に生まれたかった。そのくらい、あなたを愛してる。


 そこまで思って、雪子は愕然とした。
 それまで確かに友情だと思っていたものが、いつの間にか己の心の中で愛に変わっていた。
 叶わないと、誰よりも彼を知る自分こそが承知していたのに。

 その変化がいったいいつ起こったものなのか、今の雪子には判然としない。
 かつて鈴木は自分を恋の蛹に例えたが雪子の心の中にもいつか知れず繭が出来上がっていたのだ。
 その安寧の中で、青虫が蛹から蝶へと変化するように、友情だと思っていた自分の思いも3人の関係性という硬い殻の内で自から死んでは愛へと変わっていったのだ。
 愛という蜜を啜る蝶となったからにはもう、青虫の食べる葉の味では我慢できない。

 なのにその蝶は、甘い蜜を吸う口をもう、持たない。






(終わりです)
ここまでお読み頂きましてありがとうございました。

ある先生がおっしゃっていたのですが、精神的に病んでいる状態の定義に、プライオリティの付け方がおかしくなると言うのがあるそうです。(てか、その先生が判断してる)
普通、通常の状態では選ばないような選択肢を優先的に選んでしまう。例えばどんなに仕事が辛くてもそれによって死を選ぶ前に、もうちょっと動けることがあったとしても、例えば転職するとか、そういったことを全部すっ飛ばして、もう死ぬしか方法はないと思い詰めてしまうのはやはり精神的に疲弊なりしていて優先順位がおかしくなっているそうなんですね。

鈴木さんのもう誰にもこんな画が見られないようにおれの頭を撃ってくれ、と言った時もそんな状態だったのかもしれないな、とふと思いました。


失礼しました。


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| 二次創作・「蛹化の恋」 | コメント(2) | トラックバック(0) | |

この記事へのコメント

。・゚・(ノД`)・゚・。

みーちゃんこんばんは

うわーん、号泣だああああ。

「男に生まれたかったわ」がちゃんと理由になっててすごいです。そっか。一緒に闘いたかったというのは、男じゃないと目に止まらないからという意味だったんですね。

雪子さんはそうは言わなかったけれど、「あんたたちそんなにできあがってえええ」と言ったのは、要するに「あたしは女だから、アウトオブがんちゅーだったのよ」と言ってたわけですものね。

でも、鈴木は、・・・貝沼を見る前から変だったんですね(薪さんもだが)・・・・・・。


おじゃましましたーーーっ

| 第九の部下Y | URL | 2012.07.05 23:02 | 編集 |

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| | | 2012.07.09 15:53 |

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