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2012.02.10 06:26


こんにちは。

消失前からちまちま後悔、じゃなかった、公開していた続き物、こちらで最終となります。

今まで長々お付き合いくださいました天使さまたちには心より御礼申し上げます。

ありがとうございました!!



















「けんか、してるの?」
 以上の会話を、薪と青木は、オープン冷蔵庫の前で男二人くっついて、ぼそぼそ声でよそ様に聞こえないよう交わしていたつもりだったが、思いもかけず後ろから心配そうに声を掛けられて飛び上がるかと思った。
「舞」
「こんなとこで、おかいものしながらけんか?」
 振り返れば舞が、それは心配しながらも少し咎めるような声で、
「違うよ、夕飯のメニューのこと話してたんだ、今日は舞ちゃんのリクエストでうな玉丼にしよう、って」
 だから薪は安心させるように、眉を顰めて小首を傾げて自分を見上げる舞に、にっこり微笑んで見せた。
「そう?」
「そう」
「なんだ…またおーちゃんがなにかバカなこといって、まきさんにしかられてるのかとおもった」
 それは当たらずとも遠からず。
「ねね、おかし、かってもいいですか? 『シイタケの林』」
「ご飯の前は食べちゃだめだよ」
「ありがとっ」
 薪の返答をイエスと取って、舞がうれしそうに頬笑む。

「じゃあ、はやくおかいものして、おうちかえろう」
 ぴょんと飛び跳ねてから、薪の手を取って、甘えるように腕を絡ませる。
「牛乳買わなくちゃ」
「ヨーグルト、たべたい」
「いいよ」
 手をつないで、睦まじそうに言葉を交わしながら歩き出す二人の様は本当に幸せそうで、その背中に置いて行かれそうになりながらも青木は、自分は本当に幸せだと思う。
 薪がくれる、舞がくれる、青木の幸せ。

「ほら、おーちゃんもはやくおいで」
 スーパーの店内であるにも関わらず、感傷的になってつい立ち止まっていた青木を振り返った舞が呼ぶ。
「おいていっちゃいますよ」
 薪も立ち止まって、仕方なさそうな顔で青木を振り向く。
「ごめん、今行く」
「はやく、はやく」
 自分に向かって差し出された小さな手に向かってダッシュする。左手には、いつの間にか持たされていた買い物かごが足にがたごと当たる。
 舞の手を、捕まえたら今度は導かれるみたいに、小さな手に引かれた青木の手がさっきまでもう一方の舞の手とつないでいた薪の手に橋を架けるように触れた。それから鍵を掛けるみたいに、小さな手が大きな手二つを重ねてぎゅっと握る。
「て、つないで、なかよくしてね?」
 言って舞は、二人の繋がり掛けた手の下を潜って乳製品売場の方へ駆けていく。
「けんかしちゃ、だめなのよ」
 小さな背中はまるでダンスのステップみたいに、くるりと回って舞は笑った。

「手」
 屈託ない舞を見送りながら小さな声で薪が言う。
「つなぎましょうか」
 薪の声を受け取るみたいに青木が同じく小さい声で言う。
 それから、舞が引き合わせた手指の、それまでぎこちなく触れ合っていただけなのを、指同士絡めるようにしてしっかりとつなぎ合わせる。もう、外れたりしないようにするみたいに、しっかりと結びつけた。

「あら、仲良し」
 また途端に後ろから声を掛けられて二人は飛び上がる。拙いことをしている自覚がある分驚きは強烈だ。
 せっかく繋いだ手も振り払うみたいに放して、振り返ればさっき別れたはずの咲母がによによしながら立っていた。
「お邪魔しちゃって、ごめんねぇ…ごちそうさまでした」
「……………」
 引き攣ったまますっかり固まった薪と青木の横を、楽しくて仕方ないと言った顔で通り過ぎて、牛乳売り場の前では見つけた舞に、ほらパパ達あっちにいるよなんて声を掛けて行き過ぎる彼女に、この話も週明けには保護者間に蔓延するのだと思うと頭が痛くなる。
 でも。

 咲母の姿が見えなくなって、それまで迷惑にも通路の真ん中に立ち竦んでいた二人が磁石が引き合うみたいに視線を合わせる。それから何も言わず、さっき焦って離した手をもう一度つなぐ。そうだ、離れたら何度でも、つなぎ直せるから。だから、やっぱり。

 きみと手をつなごう。

「おそいよー、なに、してるの?」
 ぴょんと跳ねながら、乳製品売場の前で舞が呼ぶ。ごめん今行くと返しながら、つないだ手はそのまま、ほとんど同じタイミングで、薪と青木は前へ一歩踏み出した。








(終わりです)
お読み頂いて、ありがとうございました。

おかげさまでやっと落ちがつきました。 てか、育児でなんで「きみと手をつなごう」かと、そういう感じでございましたが。
手をつなぐまでに4年もかかったこちらの人たちでございますが、興が乗ったので←??extraなんかを少々……怒られないようにがんばります。

本当にありがとうございました。

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| 二次創作・「きみと手をつなごう」 | コメント(1) | トラックバック(0) | |

この記事へのコメント

ホントに、いつも感涙です。
今、外で読ませていただいたので、ニヤニヤしちゃう口元と、熱くなる目頭を隠すのに必死でした。

今の原作の状況を踏まえて、こんなラブくできるなんて、すごいです!
私は、青木が老母と乳児の姪を抱えなきゃならなくなった時点で、妄想ですら瓦解して哀しくて仕方なかったんですけど、希望が見えました!www

最近、ずっと過去記事を読ませて頂いてるんですけど、素晴らしい才能に脱帽です。
ホントに、ネット廃人ですよww
暇さえ有れば、読んでます。リアルに支障きたしまくり…(-_-#)
求心力半端ないです。

みちゅうさんの優しい薪さんが大好きです。
これからもステキな作品をお待ちしてます。

| ゆずき | URL | 2012.02.10 12:51 |

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