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2007.01.01 12:55



こんにちは。

本日、リアル日付では2012.02.06でございます。 子供が熱出して学校休んじゃったよ…やっと週末を乗り越えてフリーダムな平日がやってくるはずだったのに…

で、すみません、
このところの気色悪い一連、こちらで終了でございます。

しーさまにはずっと見守って(?)頂いてありがとうございました。


え、と、実はこの話は薪さんと鈴木さんにアル会話をして欲しくて書き始めました。でも、途中で嫌になって投げて、そしたら書けなくなって、ブログを放置している間、なにかリハビリ…と思って、これを拾い出しまして…
まあ、こんなキショい話になったわけでございます。 え、まったく訳がわからない?  

すーみーまーせーんーーーーーっ。

もしお気が向かれましたら、広すぎるお心で追記からお付き合いください。
そして出来ましたら、読み終えてもみーを嫌いにならないでください。

よろしくお願いします。
















 独占欲、と、あの時そう言った薪は笑っていた。
 いたずらっ子のように琥珀色の瞳をぴかぴか光らせて、丸く透いた頬とバラの花弁の様な唇を持ち上げて、発した言葉の醜さにそぐわない美しさで、彼は笑っていた。


「鈴木しか要らない、誰も何も要らない」

 繰り返し、鈴木に髪を梳られながら、まだ深い眠りの中にいる薪の傍らで、鈴木はそっとシーツの間から抜け出した。

「鈴木以外なら、『ぼく』だって要らないんだ」

 そうだ、おれだって薪しかいらない。今まで付き合った女の子たちだって今付き合っている女の子だって、あれはみんないわば逃げ道だった。本当に、薪だけになってしまわないように掛けた保険、おれの恐れだった。そしてそれは多分薪にとっても。
 でもそれで良いのか? 価値を見いだせないものたちに囲まれて、蔑んだものに寄りかかって、でも本当はわかってるから大丈夫だとうそぶいて、取り戻せないものを見送って生きていくのか。
 本当に、彼を自分だけのものにしたくないか? 自分を彼だけのものにしたくないか?
 おれだって、薪しか要らないんだ。

 さっきまで鈴木が寝そべっていた側に向かって、添うように傾いて眠る薪の腹を両膝で挟んで立つ。シーツの隙間から二人の体温で温められた空気が鈴木の所作で外へ流れて、薪は眠ったままほんの少し身動ぎした。
 その、ん、と反らされた薪の首に、右手に左手をつき従わせるように差し向けた鈴木は両の親指が交差するように手を、彼の顎の下に置いた。
 そのまま、ゆっくりと体重を掛けるように全部の指先に力を込める。

 気道に突然加えられた圧力に薪の身体が一瞬魚のように跳ねた。
 己の首に添えられた力に、手をやったのは与えられた息苦しさへの生理的な反射だ。戒められた首と鈴木の指の間に、それは逃れるためか指が差し込まれようとするのに、鈴木は首に回した手指に込めた力を強くする。

 驚きに開かれた瞳が辺りを巡って、しかし自分の体の上に跨って今自分を苦しくしているのが鈴木だと認めると薪は急に、抗うことを止めて両手をシーツの上に放るように落として体じゅうの力を抜いた。
 ぽとりと、椿の花首が落ちるように薪の手首が白いシーツの上のその重みで皺を作る。

 それから、ほとんど己の全体重を両手の先に圧し掛からせた鈴木のその下で、薪は薄っすらと瞼を開いて、今自分に重なる鈴木の姿を映した瞳を穏やかに下げて、ままならない呼吸で朱色に上気した頬と、反対に紫色になり掛けた唇を微かに持ち上げた。

「鈴木以外なら、『ぼく』だって要らないんだ」

「ごめっ、ん」
 飛び退くように鈴木が薪から手を放して、急に呼吸を自由にされた薪が反動で咳き込む。
 乱れて皺が波立ったシーツの上に背中を丸めて、溺れた人のように性急に肺の中に空気を取り込もうと、すればするほど気管が縮まって、薪の呼吸は中々正常に戻らない。

 苦しむ薪の傍らで、その原因を作った鈴木は申し訳なさそうに彼の背に手を添えた。身に纏っていた布地の上からその肌を、擦ってやることも躊躇われて、でもどうにかしたくてもどうしようもなく、鈴木はただ薪の上で困惑していた。

 息苦しさでよじれた皺を服に刻んだまま、薪は丸めていた背を伸ばし、シーツに後頭部を押し付けて、まだ自分の上に膝立ちで立ち竦んでいた鈴木を見上げる姿勢を取った。
「ごめん…今の……ふざけ過ぎた」
 薪のやっと落ち着いた呼吸と目元に留まった涙の粒を指先で拭ってやりながら鈴木が頭を下げる。
「ほんと、ごめんな」

「うそだよ」
 申し訳なさそうに、自分に向かって繰り返し謝る鈴木を見返しながら薪は言った。
「?」
 要領を得ずに、鈴木は瞬きする。
「さっきの……うそだよ」
 息がかすれているはずなのに、意外なくらいはっきりとした声で薪は言った。
「政治家になる、とか…認めてもらえるようにしたいとか、みんな、うそ」
「うそ?」
 と、小さく鈴木は繰り返した。そう、と薪が肯く。それからゆっくりと体を起こした。

「誰からも認められなくて構わない、認めて欲しいなんても思わない、誰に知らせるつもりもないし、誰の理解もいらない、鈴木が誰と寝ようと、ぼくが誰と付き合おうと構わない、だってそんなのぼくにはまったく価値がないことだからね」
 薪の起き上がるのに反応するように、鈴木が彼の上から退いて二人はベッドのシーツの上に向かい合う。
「本当だよ、でも……だから、ぼくも、誰にも必要とされたくない、本当は、誰からも遠く離れて、誰にも触れられなくて、ただ一日中鈴木と、鈴木の傍で鈴木の瞳の中にだけ映っていたい、ぼくが何も要らないように、ぼくも誰からも要らなくなりたい」
 鈴木以外には、とそう言って、薪は鈴木の、彼の体の両脇に力なく下げられていた手を取ってそれを胸に押し付けるとその上に屈みこむようにして額を載せる。
「みんな要らない、鈴木以外ならぼくだって、だから」

 絹糸のような薪の薄茶色の髪が、俯いた拍子に彼の耳から手の甲と、包んだ鈴木の手指の間を零れ落ちていく。
幾筋もの蜜のようなその流れの合間から、琥珀色の薪の瞳が湖に映った月影のように揺れているのが見える。長い睫はカールして、瞬きのたびにその輝きを奥ゆかしく隠している。玻璃のように透いて光る頬は薄紅に、バラの花弁を思わせる唇は言い出しそうな何かを抑えて引き結ばれている。薄明かりの中でも、象牙の光沢で白く輝くうなじが微かに震えているのに、鈴木は目を奪われた。

 急に、鈴木はいつか薪としたサガンの話を思い出した。ひとは愛の幸福の絶頂に死を望む。鈴木はそのことを薪から教わった、そして今、そう教えた薪はなんて美しいんだろう、そしてサガンの描く物語のように残酷だ。どうしておれに殺させようとするんだ。

「だから、鈴木がぼくを殺してくれるなら、ぼくは……」

「ダメだ、薪」
 それまで力なく、薪のなすままに預けていた手に力を入れて鈴木は言った。
「ダメだよ、薪、それはひとの愛し方ではないよ」
「どうして?」
 薪は鈴木と自分の手から顔を上げた。いつの間にかその瞳はしっとりと濡れ虹彩が琥珀色に輝いている。
「薪が言ったんじゃないか、おれたちが抱き合うのは人間の枠内に押し留まるためだ、って、好きなひとを、大切なひとを、ひとは殺したりはしないよ、相手を殺したくなるのは、もう愛でも恋でもないよ」

 じゃあ、どうしたらいいんだよ、と瞬きすれば薪の瞳からダイアの様な涙がぱたぱたと落ちる。
「鈴木が好きだ…愛してる…おまえだけのぼくになりたい」
 鈴木の手に取り縋って、頑是ない子供のように泣く薪に、鈴木は困惑の息を吐く。

 戸惑っているのは泣く薪に、じゃない。彼の望みを受け入れて、それを果たしてしまいそうな自分に、しかもそれを歓喜をもって成し遂げることに、彼の希望を否定しながらその実、どんな躊躇いも感じない自分に。

 このまま、薪の望む通りに、さっきまさに自分が仕掛けたように、彼を縊り殺して、そのあと自分も死ねばいい。すっかり動かなくなった薪の体に、蛇のように巻き付いて、自らも命を絶える。そうすれば二人の遺骸は、未来永劫変わらず誰も立ち入れない、二人の愛を証明するモニュメントになる。
 それが、今できる一番簡単なこと、そして一番の望み、自分だってわかってる、でも。

「薪、おれたち、友達になろう」
 言って、鈴木は心臓が撃ち抜かれるような気がした。驚いて、薪が瞬きを速くする。
「愛や恋はやめて、友達に戻ろう、そうすれば、友情なら死ななくて済む、裏切りも嫉妬も独占欲も、友情なら何度でも取り返せる」
「鈴木はぼくが要らないの?」
 呆然と、言った薪の声は震えていた。鈴木が首を振る。違う。
「そうじゃない、ただお互い以外にも必要なひとを作るんだ、恋人でも家族でも、おれたち以外の世界に色を取り戻すんだよ、薪」
 二人がこうなる前みたいに。
「鈴木以外に、失くして困るものなんてないのに」
「おれだって、薪の為なら自分の命だって惜しくない、だけどおれは、薪には生きていて欲しいんだよ、自分のために薪の命を失くしたくないんだ」
 だっておれたち、このまま一緒にいたら死んじゃうだろう? 
「だから、一緒にいても死なないように、友達なら一生一緒にいられる」


 まるで永遠みたいに長い沈黙の後に、薪はこくりと頷いた。もう頬に涙は無かった。
「うん……きっと鈴木が正しいね」
 ぼくも鈴木には、生きていて欲しいと思うからと、言って俯く、薪の肩に鈴木が薪の両手から抜け出した手を慰めるように置く。
「大丈夫、何も変わらないよ」
 うん、ともう一度、薪は頷いた。
「デイビットとジョナサンみたいな親友になろう」
「…じゃあ、鈴木がデイビットだな、女好きだから」
 俯いたまま言って、上げた顔は笑っていた。

「鈴木以外にぼくが本気で好きになるひとか……どんなひとかな?」
「おれはきっと、薪によく似た子を選ぶと思うな、髪でも瞳でも、どこか薪に似てる女の子……ちょっと気が強いのが良いな、薪みたいに」
「ぼくはもう、鈴木みたいなのは好きにならないよ、顔も姿も性格も、鈴木とはまったく違う子にする」
「自分でもどうしようもなく…おれは、そういう子を好きになると思うな、どこかに薪を思わせる女の子」
「ぼくはもう、絶対絶対に好きにならない、鈴木とは全然違う子にする、ぼくより小さくて、ぼくがいなくちゃ何にもできない可哀想な女の子がいい」
 そうだな、と鈴木は笑った。


 薪が帰るというので、駅まで送りに出た外は、始発が走り始める前の空が東から明るくなり始めていた。
 夜の群青は空の天辺から西に押しやられ、血を流した様な朝焼けがゆっくりと地面を取り囲んでいる。

「きれいだな」
 プラタナスの枝の間から、射してきた朝日に目を留めて薪が言った。不思議だ、鈴木と別れたのに、世界はちっとも変わらない。こんな都会でも、一日の始まりに射す光はこんなに美しい。
 そのまま、何か話すでもなく二人並んで地下鉄の駅まで歩いた。

 動き出したばかりの駅はひともまばらだった。
 券売機の前で、立ち止まって、後をついて来た鈴木を振り返った薪に、鈴木が最後のキスをする。
「この次に、もしキスすることがあったらそれはぼくか鈴木か、どっちかが死ぬときだからね」
「物騒だな」
 軽く笑ってから、両手を暗号みたいに組み合わせて、顎を上げた薪に鈴木が高い背を屈めてそっと口付ける。秋の終わりに間違って降ってきた雪のひとひらみたいに、すぐに消えてなくなるキス。

「じゃあ、また後で」
「学校で……」
 改札を潜って、もう振り返らない薪の背中を見えなくなるまで、ずっと鈴木は見送っていた。


 諦めたような息を吐いてから、駅の構内を出ると空は一段と明るさを増していた。切れそうなくらい清冽な朝の光はきらきらと建物の輪郭を銀に輝かせながら鈴木の元まで届く。
「きれいだな」
 と、薪の真似をして呟いて、鈴木は立ち止まって空を見上げた。そうだ、彼を失くしても世界は変わらず美しい。

 しかし、本当に、おれは薪を失くしたんだろうか、と鈴木は自問する。違う、今日、やっと自分は彼を本当に、二度と離すことなく永遠に手に入れたのだ。
 哀しみが満ち満ちた部屋で、薪はおれがデイビットだと言ったが、違う。おれの上に君臨する、定められた王こそ薪なのだ。おれはこれからジョナサンがしたように、自分の肉親よりも己の未来よりも、自分を次にして、薪を第一に置くだろう。薪が輝くなら自分に約束されていた将来を投げ打ったとしても、微塵の後悔もない。

 今日からおれの人生はすべて、薪への愛情の証明、薪に捧げる愛の歌になった。例えジョナサンたちのように文字には残らなくとも、おれの人生はただ薪への思いを歌うだろう。

 薪を愛してる、愛してる、他のものに比類なく薪を愛してる、おれのすべては薪のもの。

 それは誰にも聞こえないひそやかな声で、しかし確かに、これからずっと、遠く離れたとしても、もしかして死んでも。おれの命は薪への愛を歌い続けるだろう。
 おれの薪、愛してる、愛しているよ、と。

 まるで祈りを捧げるみたいに、こうべを垂れて目を閉じて、それからもう一度開いた瞳で今度はしっかりと前を見据えて、やっと起きかけた街の中へ、鈴木は歩を踏み出して行った。








(終わりでございます)
きゃーー、途中気持ち悪すぎて、ここまでどなたもたどり着けなかったらどうしよう…真剣に心配だわ。

「ディビットとジョナサン」は…多分誰?という感じですよね。ヘブライ語だったら「ああ」と思うと思いますけど、万に一つ、検索でどなたかいらっしゃったら、本当に拙いので、英名にしました。

そうそう、アノ二人ですよ~ はじめて読んだのが10代の頃で、あの時は「ああ、信仰による友情はなんて美しいんだろう」と感動していたのですが、今読み返してみましたら「ちょ、これ、ヤバイよね?ヨ/ナ/タ/ン絶対ゲイ…なんでもありません」と思いました。
本当に穢れてしまったと思いました。



そして…
珍しく?自分の書いたものについて語ってしまうのですが、お二人にさせたかった会話というのは、別れ際に、
つまりこちらの、深く愛し合い過ぎるお二人が別れることがあったとしたら、そして次に相手を探すとしたら、てか原作では次に好きな人できてるし、
鈴木さんはきっと、自分は(女々しいから)少しでも薪さんに似た人を選ぶだろうと言ってその通りにし、
薪さんは、もう絶対に鈴木さんに似た人は好きにならないと誓って、でもどうしようもなく鈴木さんを、求めてしまうんではなかな、と。 すみません、語っちゃって……


こんなところまで読んで頂いて本当にありがとうございました。


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