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2007.01.01 12:50


こんにちは。

本日、リアル日付では2012.02.05であります。

あのね、
今回の分は「こいつら、ナニモノ?!」って言われると思う。何やってるの、意味わかんない、って思われる、多分。

本当にごめんなさい。















「いよいよ今度は別れちゃうかも」
 着てきたダッフルコートを肩から落としながら薪がそう切り出したのは、鈴木が今のワンルームマンションに越してきた後のことだ。
「『絶対に浮気してるでしょ』って泣かれちゃったよ」

 以前の二部屋続き間のアパートよりも、条件が良くない今の部屋に越してきたのは鈴木のこだわりだった。
 曰く、隣室の声が漏れ聞こえてくるからには当方の声もあちらに漏れ聞こえているからに相違ない。自分のことを、誰にも咎めさせるつもりなんかないのに、何故鈴木がそんなことにこだわるのか薪には不可思議だったが彼の思うとおりにさせた。

「浮気なんてしてないのにね」
 脱いだコートを掛けもせず、床に取り落として、すぐ傍らに立つ鈴木の顔を見上げる。少し困ったような笑みを口元に浮かべて、鈴木は薪を見返した。鈴木に見つめられた薪の口元がゆっくりと持ち上がる。だって本気だもん。
「本当にわかってない」
 薪が落としたコートを、鈴木は体を折り曲げて仕方なさそうに拾い上げてクロゼットのハンガーに引っ掛けた。
 それから、以前の部屋から運んできたローテーブルの傍らに腰を下ろす薪に背を向けて、外から冷たくなってやってきた彼の為の飲み物を用意するためにキッチンへ向かう。

「でも、千佳ちゃんとはもう長いだろう?」
「うん、一年半…くらいかな? 続いてた」
 マグカップの中に調整ココアの粉末を入れながら背中越しに尋ねると、テーブルに肘を着いた薪が面倒くさそうに応えを返した。
「薪は…女の子と長続きして偉いね」
「鈴木は女の子と長続きしなくて偉くないね」
 憎まれ口を楽しそうに利く、薪のために今日鈴木が用意したココアは湯を注すと小さなマシュマロがいくつも浮かんで、まるで子どもが喜びそうだとばかにしたように、言った薪が本当はうれしそうだったのを鈴木が見逃さなかったのだ。

「もったいなくないか、そんなに長く付き合えるなら子なら合ってるってことだろ?」
 薪の目の前に、彼のココアと自分の分と、二つ分のマグカップを置きながら鈴木が言う。差し出されたカップを薪は小さくお辞儀してから素直に受け取った。その様子を見ながら鈴木も薪の隣に腰を下ろす。
「諍いの原因は知らないけど、もう一度話し合ってみれば……」

「………セックスが変わったんだって………」
 両手の中のカップの中で、また溶けずに浮かんでいる小さなマシュマロを指で突きながら薪が言った。
「千佳が言うには優しくなった、って…ぼくのセックスって前はそんなに乱暴だったのかな?」
 ちょっと心もとなさそうな薪の口調に、思わず笑いそうになって、鈴木は、さあどうだか?と肩と眉を持ち上げてみせた。
「優しいのは良い事だろうに、やましいことがあるんだとか勘ぐられるの、嫌になる」
 うんざりし切ったように、薪はため息を吐いた。

 それから、
「まあ、その原因の……心当たりがないことも、ぼくにはないのだけれど……」
 拗ねたような薪の口調に、浮かんだ笑みを抑えて崩れた鈴木の目元を、くるりと見上げながら薪は言葉を続ける。
「変じゃないか? 鈴木と寝るのなんてずっと前からなのに」
 鈴木はそんなこと言われないの?と、貰ったカップに口も付けずに尋ねる薪に、おれは無いなと鈴木が返す。ああ、そうだね、鈴木は飽きっぽいからね。
「3か月単位で相手が変わっていれば、そんな面倒なことも言われなくて済むのかも」

「…ん、だと?」
 からかわれているだけなのがわかっても、咎められて鈴木は怒ったように唇を尖らせてから、その時はもうほとんどテーブルに寝そべりかけていた薪の額を指先で打った。痛いな、もう。
「ま、いいや…幸い次の相手にも不自由はしなさそうだし………」
 鈴木に突かれた、赤くもなっていない額を指先で擦りながら薪が頭を上げる。

「そ、言えば、鈴木も女の子切れないよね? 次々彼女を取り換えるこんな軽薄な男のどこがいいんだか」
 言葉尻には呆れたため息を混ぜて薪が言う。
「ほんと、気がしれない」
「残念ながら薪くんの認識よりもおれは女性にとって魅力的な男なんですよ」
 何故か長続きしないけど…と最後は自分で落として、鈴木は笑った。

 どうして。
 お互いだけいればいいと、他には何も要らないと、その思いが強くなればなるほど、お互い以外の他者を必要とすることが不思議だった。

「そう言えば、おれも由香子と別れたんだ」
「うそ、早やっ」
 いいきっかけだと、急に白状した鈴木に薪が驚愕の声を出す。
「まだほんとに3か月しか経ってないじゃないか!」
「で、今度は優奈ちゃんとお付き合いしようかな、と……」
「なんだそれ」
「いや、今度こそは薪くんを見習って、堅実に誠実なおつきあいを……」
 誠実、なんて言葉絶対自分に相応しくない。気まずそうに鈴木は笑った。
「じゃないと、本当に遊び人の烙印を押されて、おれ、女の子に相手にされなくなっちゃう」
 それは困るな、と薪も笑った。僕の鈴木はいつだって、誰からも求められていなくちゃいけない。

 それから今度は急に真面目な声で、
「対策を練るならまず原因を分析、解明しないと…由香子ちゃんと上手く行かなくなっちゃったの、鈴木は自分でどうしてだと思う?」
 訊かれて鈴木はうーんと首を傾げた。
「由香子が来たがってたのに、家に上げなかったことかな?」

 どうして。
 ただ必要最低限な物質の供給源であるとしか、お互い以外の世界を認識していないはずのそれらに価値を付加させてしまうのが不思議だった。

「『鈴木くんとお付き合いできてちょーうれしかったのに、おうちにも連れて行ってもらえないなんてちょー悲しい、死んじゃいたいくらい悲しい』って言われたから、死なれたら困ると思って別れた」
 由香子の口振りを真似て言う鈴木に、薪は乾いた笑い声を返した。

「まあ、死なないと思うよ」
 恋をしているひとが死にたくなるのは、悲しいときじゃなくて幸せな時なんだって。
「サガンが言ってる。幸せすぎるから、命を粗末にすることばかり考えるのかしら、って……知らない?」
 訊かれて鈴木は首を横に振った。
「好きなのか? サガン」
 どうだろう、と薪も首を振った。
「でも、サガンの書くものは美しいと思う。正直で純粋で、だから残酷で、そしてきれいだ」
 テーブルの上のカップの中でココアの濃茶色にマシュマロが白いアシンメトリーに溶けている。

「春香ちゃん、いるだろう?」
「はるか……」
 急に変わった話題に、瞬きした鈴木が少し考えてから慎重に返事をする。
「……おれの前の前の彼女の?」
 前の前の、その前の彼女です、と薪に訂正されて鈴木は苦笑いする。薪も笑った。
「実は今、誘われてるんだよね、千佳と上手く行ってないって、どこかから聞いたのかな?」
 手の中に収めていた存在を思い出したように、鈴木に提供されたココアに薪は一口付けた。
「つきあっちゃうかも、ぼく」

「や、やめろよ、冗談でも」
 ちょうど口に含んでいた、ココアを吹き出し掛けて鈴木はむせ込んだ。
「なんだ、その狭いコミュニティ」
 気色悪いだろう? と、口の端に付いたココアの雫をシャッツの袖で拭いながら鈴木は非難めいた声で言う。
「だいたい薪に、新しい彼女ですって紹介された時、おれ、春香を前にしていったいどんな顔すれば良いわけ?」
 そして彼女はいったいどんな顔をするのだろう。戸惑う鈴木に薪は口の端を持ち上げた。

「鈴木が嫌なら止めるよ?」
 青ざめかけた鈴木が、拍子抜けするくらいあっさりと薪は引き下がった。
「春香ちゃんとは付き合わない、寝るだけにする」
「っ、だから、それが気色悪いんだよ、なんで薪がおれの元カノと」

「独占欲」
 言って薪は、両手で大事そうに包んだマグを持ち上げて唇を寄せてココアを啜った。






(続きます)
本当にすみません、ごめんなさい。 倫理とかいったい何?でごめんなさい。

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