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2008.04.01 06:10



こんにちは。

本日、リアル日付では2011.08.03となっております。
夏の盛りのはずですが、今日は朝から涼しいですねぇ・・・・台風のせいかな?過ごしやすくて良いですけど・・・・また暑くなったら辛さ倍増な気が・・・・


で、すみません、
ラブいおふたりが書きたかったのですが、
はい、滝沢さんと薪さんの話の反動でね。でもなんか、ただの変な二人組になってしまいました、すみませんっ!!

もしよろしかったら、お目汚しください~~~~

















 お日様はすっかり西に傾いて、誰も気づかないうちに世界を取り巻く空気にはすっかり夕暮れのオレンジ色が紛れ込んでいる。

 一メートルほど先を、後からついてくる青木を振り返りもせずに歩く薪の背中を見ながら、黄昏時の薪さんは本当にきれいだと青木は思う。
 斜めから射す夕陽は温かな色を含んで、いつもは冷酷で硬質な輝きの彼の薄茶色の瞳を蕩けたはちみつみたいな優しい色に変えてくれるし、透けるように白い頬の陰影も穏やかにに微笑んでいるように見せてくれる。
 暮れかけた太陽から注がれる黄金色の光はきらきらと、彼の輪郭に魔法の粉を刷いたように集まってきて、それはまるで彼が別の次元の生き物で、今まさにここから彼の存ずるべき正しい世界に連れ去られてしまう刹那のような気がして、それは小さな子供のように心細くなって、青木は突然駆け出して、その勢いに気付いて驚いて、つい立ち止まった薪の一歩先に立った。

「あ、すいません……」
 何も言わないまま、でも急な青木の所作を咎めるように見上げる薪に、青木は後ろ頭を掻く仕草をしながら謝った。
「なんか、薪さんに置いて行かれるような気がして……」
「それは…置いて行っても構わないが……」
 目的地はわかっているんだ、無意味だろう?と冷たく言われれば、はいと青木は項垂れた。

「それよりも」
 と、いっそ冷たい声で言いながら、薪が節の目立たないほっそりとした人さし指をピンと立てて指し示す先に青木が目を落とすと、
「ぼくの影、踏んでる」
 一歩薪に先んでた青木の両足の靴の下の地面に、薪の影が切り絵のように張り付いていた。

「上司の影を踏みつけにするとは……三歩下がって師の影を踏まずって知ってるか?」
 この不忠義者と罵られて、青木は焦って薪の影の上、それはちょうど薪の腰のあたりだったが、から足を退かす。
「すっ、すみませんでしたっ」
 焦って謝る青木に、言いがかりの意地悪を成功させて薪は小さく口元を持ち上げた。

 それから、
「まったく…体だけじゃなく影まで無駄に大きい奴だな」
 と、正しく比例するものにまで文句を付けながら、先に進むべく自分の影の隣で夕陽に照らし出されて地面のでこぼこの上に長く伸びた青木の影の足の輪郭辺りに、一歩足を踏み出した。

「痛いっ」
 そうしたら、隣に立っていた青木が急に足を、それは薪が彼の影を踏んだまさにその部分を、押さえてしゃがみ込んだ。
「何?」
 事態が飲み込めなくて、薪はうずくまった青木を振り返って見おろす。青木はまるで、本当の足を痛くしたようにズボンの上から向こうずねをさすりながら、薪の驚いた顔をじっと見上げた。
「……………………」
 少し考えて薪は、今度は青木の影の頭の辺りが映り込んだ地面の、ちょうどこめかみ辺りを蹴る仕草をする。
「痛っ」
 それを見た青木が、今度は頭を本当に蹴られたみたいにがくりと震わせて、
「何なさるんですか、薪さん、痛いじゃないですか」
 と、自分の頭をさするようにしながら恨みがましい目で薪を見上げるから、薪も調子に乗って彼の影をがしがし蹴り続けると、
「いた、痛いっ、やめっ、薪さん、痛――い」
 まるで本当に暴行を受けているかのように、青木はひどく大げさに地面を転がった後、芋虫みたいに伸び縮みする影の胸の部分を薪に両足でのぼられて、
「ぐえ………」
 それがとどめだったと言わんばかりにぐったりと地面にうち倒れた。

「………………………」
 5秒ほどそのまま動かなくなった後で、むっくり起き上がった青木が、してやったりと言う顔で棒立ちしていた薪を見上げるから、一瞬息を飲んだその後で、彼はつい声を出して笑ってしまった。
「ばかだろ?おまえ、いったい何してるんだよ、ここ道路だぞ?」
 それは決して大きな声ではなかったけれど、今の時期の彼には珍しいくらいの明るい声で、目尻は優しく下がって、頬はきれいなバラの花弁色に染まって、今まで見たことも無いような彼の屈託のない笑みに青木は自分の企みが成功したとうれしくなる。

 うれしくなったら青木まで、なんだか可笑しくて堪らなくなって、膝を着いたまま腹を抱えてげらげらと、あんまり笑うから立ち上がろうとするのも上手くいかなくて、彼に手を貸そうと差し出した薪の笑いでぶれた手を受け取りながらやっと青木が薪の隣に立ち上がった。
「……いやだ、なにあれ?」
「……………………」
 堪え切れない笑い声を零しながら膝をはたく青木の横で息を整えているうちに、彼らの横を行き過ぎる人たちがふざけた二人組に冷たい視線を送っているのに気付いて、薪は急に静かになった。

「…………おまえのせいだぞ、青木…………」
 静かになったのに、その反対に頬を真っ赤に染めて、顔は申し訳なさそうに行き交う人々から逸らしながら薪が青木を非難する。
「いえ…はい、すみません………」
 自分を責める薪の羞恥は青木にもがっつり理解できて、ふざけ過ぎた青木に置いてきぼりを喰らわして、途端に俯いたまま歩き出す薪に青木は焦ったようについて行く。

 また沈黙の二人の歩み、目的地がわかっているから置いて行かれても大丈夫だけれど。

 目の前の地面に、長く伸びた薪自身の影と少し遅れて青木の影が、近くなったり離れたりしながら映っている。
「……………………」
 それらの影に目を落としながら、ふと思いついて薪は、実際の手ではなく手の影が、実体でなく青木の影の手に触れるように実物の己の手の位置を整えた。
 青木の目の前のでこぼこの地面の上、薪と青木が影だけで、手を繋いでいる絵が出来上がる。

「薪さん………」
 と名前を呼んだだけで、青木はそれ以上話さなかった。さっき路上で見知らぬ人に謗られたばかりの青木は彼にしては珍しく慎重になっている。
 でも、控えめな薪の、きっとそれは彼が、今自分の後ろを歩く青木の眉が少し淋しそうに下がっているのを見なくても察してくれているのだと青木に教えて、それがうれしくて。
 今度は青木が薪側の自分の肘を少し持ち上げる形に変えると、地面の上に出来た影絵の中で、二人は睦まじく腕を組んで歩いている。
「……………ばかもの…………」

 青木の仕業に気付いた薪は、歩を止めないまま背中にそう言って少し俯いた。きっと、薪の頬にはほのかな朱色が溶けていると青木は思った。

 少し離れた薪の背を追い掛けながら、青木が彼の方に向けた頭をほんの少しだけ傾けると、青木の影の唇が薪の影のこめかみにそっと口付けした。







(続きます)
ごめんなさい。

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