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2008.03.15 05:50


こんにちは。

本日はリアル日付では2011.07.14であります。フランス革命の日ですねぇ・・・・

こちら、昨日の続きでございます。 あと一個で終わるの、でもカテゴリ作っちゃった、すみません・・・・

青木さんが思いっきりお子ちゃまですが、よろしかったら・・・・

広いお心でお願いいたします。
















 お持たせのプリンを食べ終えたあと、舞から今日の遊び相手に選ばれたのは薪だった。
「ちーちゃん、舞にご本読んで?」
 最後のお茶を飲みほした後、自分に与えられた部屋の本棚から一冊の絵本を持ってきた舞は、まだテーブルについたまま青木と彼の姉夫妻と何でもない会話をしていた薪の膝のその本を載せて、甘えるようにその表紙に頬を押し付けながらねだった。
 期待を込めて見上げてくる黒い小さな瞳を薪は口の端を持ち上げて見返す。

「舞ちゃん、室長さんは今、パパ達とお話ししているんだよ?」
 そう咎めたのは義兄だ。
「そのご本なら、昨夜もママが読んであげたじゃない?」
 そう言って気を逸らそうとしたのは姉で、
「じゃあ、おれが読んでやるよ、舞」
 薪に子供の相手をさせるのが忍びなくて、彼の代わりに自分がと、申し出た青木にも舞はしっかりと首を横に振って、
「ちーちゃんに読んで欲しいのです」
 断言した舞の手を取って、薪は椅子から立ち上った。
「いいよ、でもあっちでね」

 それから、繋いだ小さな手を引いて、薪は舞と一緒に窓の前に敷かれたプレイマットの上に腰を下ろす。
 当然と、舞は薪の膝の上にちょこんと座り込むと、自分の小さな膝の上に、大事に持ってきた絵本を広げた。
「ええと……『おそらに……』」
 舞の小さな肩越しに、薪は広げられた絵本の字を読み上げていく。彼の声に、舞は頷いて、時々薪の顔を後ろを振り返るように見上げて、うれしそうに耳を傾ける。
 捲ったページは小さな指で押さえて、
「あのね、このお星さまがね……」
 自分の気に入りの絵を指でさして薪に教える。

「……あれ、何の本?」
 そんな二人の横顔を、最初少しはらはらした顔で見つめていた青木が姉に尋ねる。
「夜空の本よ、子供向けに天文学者が書いた絵本」
 青木と同じように、薪の膝の上でうれしそうに笑う舞をじっと見つめながら姉が答えた。
 彼らの視線の先では、まるで絵画の中の一対のように、二人が慈しみ深く微笑み合っている。
 幼児を相手にした者の多くがそうであるように、薪の表情からは彼がその職務ゆえに常に持ち合わせていた険しさがすっかりと消えていた。
 いつもなら切れそうなくらい硬質な色をした薪の瞳が温めたはちみつのように優しく光っている。薄紅を載せた目元も頬も穏やかなカーブを描いて、花弁のような唇は美しい言葉しか知らないように、子供に教える優しい詩を歌っている。
「あのね、このお星さまがね……」
 自分の声を遮るあどけなさにも薪は愛おしそうに黙って耳を傾ける。
「きらきらしてるのが、ちーちゃんみたいにきれいだな、って、舞、思ったの」


 その時、薪が舞に見せた笑顔を、思い出せば彼らの家を離れても、青木はなんだか胸が苦しくなるような気がした。

 姉の家を辞して、二人揃って薪の自宅に向かう途中もずっと無言で、薪に話し掛けられても困ったように半分笑うだけで、家に着いてからもリビングのソファに腰掛けたまま、夕飯の希望を尋ねた薪に返事もしない青木に、それまで気づかない振りでいた薪がとうとう、ぼやけた表情で座り込んでいた青木の隣に、トスンと音をさせて腰を下ろした。

 その所作の彼らしくない乱暴さに、我に返ったように青木が自分の隣に座った薪を見遣る。
 背丈の違いから、青木の顔を少し見上げるようにした、薪の顔は怒っているように見えた。しかしそれは彼特有の、心配と困惑の表情だと青木は知っていて、なのに今日は薪の心掛りに構えない。
「………どうした、青木?」
 形美しい眉を寄せて尋ねる。姉の家から戻った青木が、こんな風に不機嫌で心ここにあらずになってしまう原因が自分であることを薪は承知していた。
 薪の居心地の悪さが青木の家族から与えられたと判断した青木はそのせいで不機嫌になる。それは薪を気にする彼には立派な矛盾だがそれを制せられるほど青木はまだ大人ではなく、己の不甲斐なさを泣き出しそうな瞳や子供のように拗ねた唇でしか表現できない。
「ぼくは大丈夫だよ?」
 だから、薪から不当なくらい優しく気遣われれば、風船がしぼむようにくしゃりと顔を歪ませて、「ごめんなさい」と謝るのが青木の常だったが、今日に限っては一層顔を歪ませた後に、自分が困らせた薪から、ぷいと横を向いてしまった。

「………………」
 薪には、今青木がひどく不機嫌な原因に全く心当たりがない。
 今日は上手くやれたと彼は思っていたから。姉夫妻とも、呼び名に反して弟の上司として以上に親しげに会話できたし、小さな姪の相手もしてやれた。そしてそれは己のみの努力や尽力でなく、青木の家族が自分を受け入れてくれた故だと分かって、それは青木のかねてからの切望でそれが叶いつつあるというのに、なのに今なぜそれを望んでいた青木がひどく機嫌を損ねているのか、理解できず薪は一層眉を歪めて瞬きした。

「…………プリンのことか………?」
 たった一つ、青木が不愉快そうにしていた心当たりを口にして、薪は首を傾げた。
「プリン買って行ったの、自分の手柄に出来なかったことが……」
「違いますよっ」
 青木から急に大きな声で言葉を止められて、少し驚いた顔で薪は黙った。
「プリンなんて、どうでもいいです」
 だって実際選んで買ったのは舞の当てた通り薪さんだったんだし、と相変わらず横を向いたまま拗ねた唇で青木は言った。
「…じゃあ、どうして…?」
 改めて尋ねられて、青木はまた口を噤んだ。それは自分の心の内にあることを、いったいどう表現しようか困惑するような黙り方で、幾度か口を開きかけて、止めてから、ぽつりと零すようにとうとう青木は言った。
「………だって、ずるい」

「………………?」
 まったく思い当たらない青木からの言葉に、薪はますます首を傾げる。不思議そうに瞬きしながら、けれど青木の不機嫌の理由を彼の変化から見逃すまいと、じっと彼の横顔を見つめる薪の瞳を、いじけたように一瞥したあと、
「舞はずるい」
 言って青木は額が膝に着くくらいうな垂れた。
「薪さんにあんなに優しくしてもらえて………」

「……………………は?」
 呆れて目と口が開きっぱなしになるという経験を薪は初めてした。
 後ろ頭に掛けた手で、自分の頭を抱き込むように、膝の上にほとんどうつぶせながら青木は、一度口にしたらその不満がとめどなくなったように、呆然と青木を見る薪の呆れ切った視線などお構いなしに言い募った。
「薪さんに自分の好きな本読んでもらえるなんて…おれなんていつも薪さんから強制的につまんない本読まされてるっていうのに……それに薪さんの膝に抱っこされちゃって…おれなんて膝枕だって滅多にしてもらえないのに……それにそれに、薪さんから、あんなに優しい顔で笑ってもらえるなんて……」

 そうだ、薪のあんなに穏やかな笑顔はそれまで全く見たことが無いと、思って青木は苦しくなった。
 舞を膝の上に載せて彼女の求めに応じて本を読んでやった薪の微笑んだ様子。長く伸びた睫の下で奥ゆかしく輝く琥珀色の瞳は優しい光を帯びて、少し下がった目元と透けるような頬は薄紅色にほんのりと染めて穏やかに、緩く持ち上げた唇は咲き始めたばかりの花弁のように柔らかく、薪は微笑んでいた。
 小さな肩に回した腕も、幼児に向けた詩を朗読する、声のトーンにもその速さにも、抱いている小さな子への薪の愛おしみの情が溢れていた。









(続きます)
青木さんのやきもち焼き屋さんっ!!

だって、こんなこと考えてるひとだもん。 きゃーーー、ごめんなさい。


失礼しました。

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| 二次創作・「Passacaglia」 | コメント(1) | トラックバック(0) | |

この記事へのコメント

鍵拍手コメントくださったAさまへ


Aさん、こんにちは。
拍手コメント、ありがとうございました。 お返事が遅くてすみません。

独占欲、っていうか・・・・・
男のひとって、そういうトコないですか? 最初の子供が生まれた時、赤ん坊に掛かりきりのわたしに、主人は「子供ばっかりずるい」ってのたまったのですが・・・・

青木さんはまだまだお子ちゃまなので、そして薪さんの前ではまたひどく甘えて子供になってしまうので、仕方ないのです~~~
なんてことを言ってるのは世界でここだけだったりして、すみません・・・・

拍手、ありがとうございました。
Aさんのまたのお越しをお待ちしております。

| みちゅう | URL | 2011.07.19 16:10 | 編集 |

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