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2008.03.15 05:45


こんにちは。

本日はリアル日付で2011.07.13でございます。
毎日暑いですねっ。

えっと、こちらは「Recitativo」(青木さんがお姉さん〈原作に反してご存命です〉にカムアウトする話)のつづきでございます。 勝手にすみません。
舞ちゃんが4歳くらいの話です。

よろしくお付き合い頂ければとってもうれしいです。





















 薪と青木と、二人そろって青木の姉の家から戻ってきた時に、青木がひどく不機嫌になっていたことに薪は気づいていた。
 しかし、それが何ゆえなのかには、薪にはさっぱり心当たりがない。

 青木の姪にあたる舞が幼稚園に入るようになってから時折、薪と青木は連れ立って姉の家を訪れるようになっていた。
 それは例えば休日の午後、買い物に出たついでにふらりと実家に立ち寄るように、ある時は小さな手土産を持って、もしくはそんな気兼ねは一切しないで、青木が姉の家のインターホンを鳴らすと、奥から聞こえる青木の姉の、
「はぁい」
 という声と一緒に、廊下を玄関に向かって走ってくる軽い足音が聞こえる。

「開いてるわよ」
 と言われて、遠慮なく青木が玄関のドアを開けると、リビングから首だけ伸ばした姉と玄関の真ん中には小さな舞が、ちょこんと立って二人を待っている。
「おーちゃん、いらっしゃいませ」
 上気した頬でぴょこんと頭を下げて挨拶をする、舞は自分の叔父の青木が大好きだ。彼はいつも特別自分を可愛がってくれることを、「おじちゃん」と言えない代わりに舌足らずに「おーちゃん」と呼んだ幼い時から身に染みて知っていたから。
「ちーちゃんも、いらっしゃいませ」
 それから、いつからか覚えていないけれど、大好きな叔父と一緒にやってくるようになったもう一人の彼のことも、舞は大好きだ。
 母と父から「室長さん」と呼ばれる彼、舞は両親を真似て彼をそう呼ぼうと努力したが3歳児の舌には荷が重く、いつの間にか舞は彼を「ちーちゃん」と呼んでいた、彼は、彼女の短い人生の中でさえ見たことも無いくらい綺麗で、叔父と違って滅多に自分と一緒に遊んでくれることはなかったけれど、しかしいつも慎ましやかに、でも例えようのないくらいの慈愛の瞳で見つめられていることに気付いていたから。

「お邪魔します」
 と、舞に向かって慇懃に頭を下げてから、青木は靴を脱いだ。それから、
「これ、おみやげ…舞の好きなプリンだよ?」
 駅前の馴染みの洋菓子店の紙箱を舞に示すと、
「わぁい」
 舞は小さく一つ飛び上がった後に、
「ありがとう、ちーちゃん!」
 青木の後ろで靴を揃えていた薪に礼を言うと、青木の手からその紙箱を取り上げて、母の待つリビングへ駆け戻って行った。
「ママっ、ちーちゃんにプリンもらった!!『ダルブル』の!!」

「………渡したの、おれなのに……」
 なんで薪さんにお礼?…不服そうな青木に薪は小さく微笑む。
「おまえの姪御はばかじゃない、ってことだ」
「どういうことだよ……」
 それから、まだ不満げに突き出した唇のまま、薪よりも一歩先の廊下を歩いて、さっき姉から声が掛かったリビングに入って行った。

「いらっしゃい」
 と、姉はさっき舞に渡したプリンの入った紙箱を早速リビングテーブルの上に広げて、お使いさせた舞は期待に待ちきれ無さそうにテーブルに張り付かせながら二人を出迎えた。
「お邪魔します」
 と、今度慇懃に頭を下げたのは薪だ。
「室長さんもいらっしゃい」
 薪からの挨拶に、姉は小さくお辞儀をして応えた後に、
「お茶入れるわね、紅茶でいい?」
 尋ねながらしかし、手にはしっかりと大きめのティーポットを用意しているのに、薪は黙って頷いた。

 それから、庭へと続く掃出し窓の、半分開いてレースの白いカーテンがひらひらしている隙間から、
「パパも、お庭はそのくらいにして上がってきて、一行と室長さんがプリンくださったの、一緒に食べよう?」
 外へ向かって投げるように声を掛けるのに、
「わかったぁ」
 と返事がして、南向きの花壇にしゃがんで土と花をいじっていた青木の義兄が立ち上がると、足周りの土を払い、外壁沿いに設えられた外水洗で洗った手を首に掛けたタオルで拭いながら部屋に戻ってきた。

 額に浮かんだ汗を、首のタオルで拭きながら、
「どうも」
 義兄は一足先にリビングテーブルに並んで座っていた青木と薪に頭を下げて彼らの向かいに座った。それからキッチンでお茶の支度をしている妻に向かって、
「ごめん、僕には冷たいお茶、先に貰えるかな?」
 所望を伝えれば姉は返事をするより早く、ガラスのコップになみなみと注がれた冷茶を夫に持参する。
「暖かくなってきたから雑草がひどくてね……舞がいるから除草剤は使いたくないし…だから人の手でね」
 受け取った冷茶を美味そうに一口飲んで、腰掛けた椅子の位置を改めながら言う、義兄が青木と薪がこの家に訪れた時に彼らと席を共にしてくれるようになったのはつい最近のことだ。
 以前は、青木が薪を連れてきた時には、薪が挨拶しても姉が呼んでも青木が声を掛けても、まるで二人の存在など家の中に無いかのように、彼は振る舞っていた。

 それがいつの間にか、
「おっ、プリン頂いたのか?良かったね、舞ちゃん、室長さんにお礼は言ったのかな?」
「言ったよね、ちーちゃん」
 貰ったおやつが待ちきれないと、目の前に用意されたスプーンをいじっている娘も交えて一緒に会話をするようになった。

「舞、それ買ったの、おれだよ?」
 さっき玄関で、舞から礼を言われなかったことを根に持つように青木は言った。
「そうぉ?いつも、おーちゃん選ぶのシュークリームでしょ?自分が食べたいから」
「……………」
「舞の好きなのプリン、買ってくれるのはちーちゃんだもん」
 子供用の高い椅子に腰かけて、足をぶらぶらさせながら上目使いで指摘された、それはまさに正解で、青木はぐっと言葉に詰まった後に、
「…………ほら、賢いだろ?」
 小さく耳打ちされた薪の言葉に、悔しそうに半分だけ頷いた。







(続きます)
薪さんが嫁。 ごめんなさい。

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